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新作路6月

2016年6月1日 327号
sinjanglo◆暖かくなり、お出掛けやすい季節になってきた。入園・進級・進学など何かと忙しい季節。5月になり少し生活のリズムを掴んで、いつもの生活が落ち着いてきた頃。キッズスペースにも賑やかさが戻ってきた。やっとお座りやハイハイができるようになった新しいお友達も、ここのところ利用が多い。同じ年くらいのお子さんをもつママ同士、食事の事、遊び場の情報交換や子どものあるある話などに花がさき、盛り上がっている姿も多くみられる。そばでその様子を見聞きしていると、お母さんたちはとても情報ツウで、色んなことを知っているので、熱心だなぁと驚かされる。
◆遊びにくる子どもたちは、本当に個性豊か。誰にでもニコニコ愛想の良い子もいれば、ずっと眉間にしわをよせて警戒している子もいる。お喋りが上手な子、気持ちを表現するのが苦手な子や、表情が豊かすぎる子。みんながそれぞれで、とてもかわいい。見ているだけで気持ちがほっこりしてしまう。
◆子どもたちも個性豊かだが、大人たちもまたそれぞれで、人と関わるのが得意で周りの人たちを巻き込み楽しい時間を過ごす人や、人と関わるのが苦手で、子どもと2人の時間を楽しむ人もいる。そしてこの春は、障がいをもつ子をもち、かつ外国につながる家庭が多い、という事を気づかされる機会が多かった。ただでさえ、子育てに色々な悩みがつきまとうのに、生まれ育った場所と違う国で子どもを育てて、ましてや障がいや発達に心配のある子を育てているとしたら、どれだけ孤独で不安だろう。伝えたいことが伝えられない。教えてもらいたいことが、教えてもらえない。わからない。ふれあい館では子どもに関わる通訳・翻訳の活動を行っているが、子どもの発達・支援に関係する機関からの依頼も多い。日本語のコミュニケーションが難しい保護者は、思っていることをうまく伝えられずに一人で抱えこんでしまっていて、そのような状況がたくさんある事を強く感じた。
◆キッズスペース「ろば」は、火・木・土曜日、川崎区の地域子育て支援センター事業の委託を受けている。子育てをしている人たちを応援する、とても大切な事業だと思うが、子育て支援センターというネーミングで、敷居を高く感じてしまい、利用しづらくなってしまっているかもしれない。ルールを守らなくちゃいけないとか、しっかり子育てをしていなくちゃいけないとか。人との関わりが上手な人でないと利用がしづらい。もちろん、たくさんの方に交流の場として利用してほしいが、そうでない人にも、こそ、来やすい場にしなくてはいけないと考えている。子育てに悩み行き詰って、疲れてしまっている。少しゆっくりやすみたい。子どものこと、自分のことで困っていて、誰かに聞いてみたいけど、聞けない、聞きづらい。話せないでいる。日本語でのコミュニケーションが難しくて、さまざまな情報が得られにくい人。大勢の人の中に入るのが苦手な人。どんな方にも利用してもらいたい。利用者さんの少ない時間帯をねらってゆっくり利用するのもあり!大人も子ども、周りを気にせずに、ゆっくりと自分たちの時間も過ごしてほしい。ろばでは、少人数でのプログラムも企画している。まずは、あまり気張らずに遊びに来てもらえたら。だれもが、気軽に好きな時間を過ごしてもらえるような場所にしたいと思っています。

 

新作路5月

2016年5月1日 326号
sinjanglo年間50校を超える学校に招かれて、こどもの前でワークショップをおこなっている。韓国・朝鮮、中国、フィリピンなど、生活者が身体に刻んだ「文化」を伝えるという仕事だ。手前味噌かもしれないけれども、10年近く、毎年新しい工夫を加えながら、練ってきているので、評判は悪くないと思う。帰りがけのこどもたちの「あんにょん!」「再見!」「パアラムポ!」とあいさつする声のトーンや、その表情から推して、数時間の短い時間のなかであれ、人間として大事なものが、少なくともいくばくか伝わったことが感じられる。●プログラムそのものの実施もさることながら、この仕事をするにあたって最も大事なことは、先生方との打ち合わせだと考えている。すべからくプログラムは、どんな想いで事に臨むかですべてが決まると言えるからだ。正直なところ、どの学校も枠組み自体は似ている。しかし、なんらかの理由で心の深いところがうつむかざるをえなかったり、やりきれない想いの行方を探れなかったりしている、「いまを生きる」こどもたちの状況。そこから、「何をすべきか」を考えた末に出される先生方の提案に、深く学ぶことが多い。●こどもたちの顔に笑顔があふれたり、声の肌理に人間の尊厳への深い信頼を感じるときには、打ち合わせのときの先生方の「想い」の深さが、実はこの風景をあらかじめ用意していたのだと感じる。こちらから聞く前に、自分の出自や文化的背景を語ってくるこどもたちの「声」には、「聴かれること」を待っていた瞬間の長さや、「聴かれたこと」の喜びの記憶が横たわっているのだろうと思う。そういう瞬間は、先生方が、「聴かれること」を待っている「声」があることを、鋭く感知していたということを改めて確認する瞬間でもある。●この仕事は、人間の尊厳と違いを尊重し、「ともに生きる」ことをうたって川崎市が作成した「外国人教育基本方針」によって形を与えられたものだ。「方針」はそれを活用する具体的な働きがなければ、さまざまなスローガンと同じようにただのお題目に終わってしまうだろう。しかし、具体的な仕事を通して、「言葉」に魂が吹き込まれるとき、人間が生きるための「場」がつくられうることを、この仕事を通して感じている。だから、この仕事をほんとうに作ったのは、「聴かれること」を待っていたこどもたちの「声」であったのだ。表層を形作っている「文化」の深層には、ときに、この「声」が息づいていることを忘れないでいたい。

 

新作路4月

2016年4月1日 325号
sinjanglo●4月、桜の開花とともに、新入学、新学期を迎え、新たな希望や夢を持って歩もうとしている小中(しょうちゅう)学生。ふれあい館が運営するわくわくプラザでも、大勢のかわいい一年生があふれている。●去る3月は、新たな旅立ちを迎える季節で、私も地域の小学校、中学校、高校と多くの卒業式に列席した。そして、ふれあい館が「多文化共生」の視座から評議員会に参席している県立川崎高校定時制の卒業式にも参加した。夕方から夜のとばりが立ち込める中、大勢の高校生が壇上に立ち、次々と自分の想いを語った。「中学時代、いじめがあって学校に行けなくなったが、県川定時に来て自分は変わった」「中々、前向きに生きられず、反抗する自分を、お父さんはいつでも正面(しょうめん)から受(う)け止(と)めてくれた」「しつこくて、うざかったけど、いつもうるさく言(い)ってくれたA先生に今は感謝している。絶対、今日は泣いてね」・・・。●高校生の心の声が語られ、そこから、彼らが背負ってきた悩みや、家庭、社会の背景が迫ってきて、感動的だった。そして、改めて、「教育の原点」は、やはり友だちの輪、先生、傍で立ってくれる保護者や寄り添う人びとの支えだと強く思った。高校生たちが、友だ
ち、教員とのふれあいから、自分を見つめ直し、自らの存在を肯定し、将来への夢や進路を語る姿を見て、むのたけじさんのある詩句を思い浮かべた。『どのように生きるかにあせる人は多い。なんのために生きるかになやむひとは少ない。生きる目的がはっきりしておれば、どのようにしてでも生きていけるのに。』●日頃、ふれあい館で、特に中学生との関わりで感じることがある。進路希望に関連して「夢は何ですか?」という質問は面接試験で必ずでるが、夢を持つこと、夢を見定めて、目標に向けて歩むことが中々むずかしい状況なのだ。川崎区に生活する中学生の中には、家庭の経済的な厳しさや家族関係の問題を抱えるこどもや、フィリピンや中国から、中学生期に渡日し、定住する外国につながるこどもも多い。とりわけ、思春期、多感な時期の中学生たちが明るく、前向きに「夢」を語れる日のために、ふれあい館の学習サポート事業や中高生居場所づくり事業を大切にしたい。ふれあい館の財産「ロールモデルの先輩」たちと寄り添う実践をすすめ、「だれもが力いっぱい生きていくために」、社会で生きていく力を日々の積み重ねから育んでいきたい。
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