夜のふれあい館
遊戯室では受験を終えて、卒業を待つばかりの中3のグループが、和気あいあいと賑やかに過ごす。
週に2回 情熱的に学習をする ハングル講座の受講生であふれる 会議室。
文化交流室では3月14日のふれあいフェスタにむけて、パランセチャンゴ講座の方々が 自主練習に励んでいる。
受験を控えた 中3のこたちが バトミントンをして息抜きをしている ホール。
それぞれが 思い思いに過ごす館で 所在なさげに 退屈を持て余す2人。
中学2年の彼らは、学校でも自分の居場所をなかなか見つけられず、1年半ほど前から、暑さ寒さしのぎと仲間を求めてふれあい館に来るようになり、最近ではほぼ毎日 館に来る。多い時には10人を超えるメンバーで、館の狭いロビーにたむろし、17インチのパソコンのモニターの中で歌う ロック歌手の 愛の叫びに 自分の想いを重ねて 叫んでみたり、仲間と一緒にいるのに、視線と心は、手のひらにある、携帯電話の小さな液晶画面に注がれたままだったり、 若い 有り余る 心と体のエネルギーの行き先が定まらずにいる姿に 触れてきた。
食事代として親からもらったお金を、お菓子や他のものにつかい、お腹をすかせていらいらする彼らが小学生に八つ当たりしたり、弱いものいじめをすることもあり、一緒に食事を作って食べてみたり、一緒にゲームをして仲良くしてみたり、試行錯誤の付き合いだった。
ただ、どうしても 叱ることも多くなり、叱る、叱られるだけの構図ができてしまっていた。彼らのイライラや、おさまらない暴力的な言動は、私たちの実践力不足を見透かしているようだとも感じながら、それでもと 職員それぞれが 彼らとの付き合い方を模索してきた。
昨日は、他の仲間は 映画を見に行ったり 家の用事で出かけたりと 珍しく2人だけ。
退屈しのぎか、何か食べる物はないか 事務所に入ってきて 小さないたずらをしたり、私たちをからかったりしながら過ごす。
仕事をしながらも、彼らと会話をする。会話をしながら、注意じゃなくて会話をすることが、久しぶりなことを思い出し、反省したり嬉しかったり。
たわいもない話、子どもの頃の失敗談を話したり、楽しく過ごしながら、彼らは白版に 友達の似顔絵を描いたり、携帯のカメラで撮影したり。
私がパソコンで書類を作成していたら、
「ほんきで!」と一言
聞きかえすと「今ほんきじゃなかったべ。ほんきでやれよ。」とのこと。確かにおしゃべりしながら、たらたらキーボードをたたいてたかも。「じゃあ」と気合を入れて、ちょっとカッコよく、キーボードをたたくと 「すげぇ ぷろっぽくね」と喜ぶ彼ら。もう一回のリクエストに、ちょっと大げさに、指の準備運動なんかして はやく打つと、「やべー」「すげー」と大喜びの彼ら。
そして「おれも!」とやってみるけど画面には 「ういfgsぢygふぉうygちゅstcf」 みたいな めちゃくちゃな入力。
「早ければいいっいてもんじゃないんだよ。正確に、心をこめて丁寧に、愛情持って」とのウンチクにも 今日は「めんどー」というリアクションにも笑顔がある。
「おれにもやれせてみ」と もう一人の彼。 伝えたいことを、わかりやすく、見やすく伝えるコツをつたえながら、彼との共同作業のファイルが完成。
「すげーべ。」とうれしそうな彼。私もうれしくなって、彼らには見えないように 「○○と一緒に作ったファイル」と名前を付けて保存した。
私自身も中学生のころちょっぴりとがった時期があって、その頃はわけもなく大人を毛嫌いしていたけど、嘘がない大人、てきとーじゃなくて聞いてくれる大人は大好きだったし、今でも感謝してる。
彼らは見抜いてたのかな、いつも本気じゃなかった私の対応に。パソコンの入力じゃなくて、わたしの本気や本音を試したのかなとも思う。忙しいとか、年度末だとか こちらの大人の都合主義な実践のかかわりじゃダメなんだよなと痛感させられる。
楽しいおしゃべりは続き、ふとした拍子で名前の話。
そういえば私は、彼らの下の名前をよく知らない。「ごめん、下の名前なんだっけ?」ときくと 「今さらかよー」と教えてくれる。
二人とも とってもいい名前。「素敵だねぇ。その漢字がいいねぇ」と話すと
一人の彼は照れながらも 「親が X JAPANの よしきのファンだから」と教えてくれた。
もう一人の彼も「親が ボクシングの たつよしじょういちろうが好きだから」と教えてくれた。
「へぇ すごいね 好きな人からとったんだぁ。よかったねぇ」に 「だべ」と嬉しそうな彼ら。 教えてもらった下の名前でよぶと 「なにちょーしこいてんの!」と言いながら 今の気持ち、これから先のことをすこーしだけ話してくれた彼ら。 半歩進んで 3歩下がるような 関わりだけど、今日の半歩は意味ある半歩だと 胸に刻んだ夜勤でした。
帰り際 「気をつけて帰るんだよー 寒いから 外うろうろしないで 家に帰りなねー」と声をかけると
「外は さむいにきまってんだろーが ぼけー ばばぁー」と いつもの調子の彼ら。
私も負けずに 「○○ー ▽▽ー 明日ねー」と 下の名前を 大きな声で叫ぶと
「うるせーーー」と彼ら
でも 今夜の 「うるせー」には尖りがなく 後ろ姿はかわいらしく見えました。
明日も、明後日も 本気で 名前をよんでみようと 思ってます。
また ばばぁっていわれちゃうかな(笑) (かんいぢゃ)

